コンテンツビジネスインサイトレポート
本レポートでは、2026年6月17日(水)〜19日(金)に東京ビッグサイトで開催された「第19回 コンテンツ東京」の来場者や出展社に関するデータやインタビューをもとに、「コンテンツビジネスのいま」と「企業に求められていること」を整理します。
1.開催サマリー
コンテンツ制作、IPビジネス、広告・マーケティング、クリエイティブなど、コンテンツ産業を支える多様なテーマを網羅する日本最大級の総合展示会。
開催日時 | 2026年6月17日(水)~19日(金) |
開催場所 | 東京ビッグサイト (西展示棟) |
出展社数 | 1,000社 |
セミナー概要 | 聴講者数4,123名 総セッション数38 |
来場者数 | 31,475名(3日間合計。同時開催展を含む) |
構成展示会 | ライセンシング ジャパン、クリエイターEXPO、映像・CG制作展、 |
コンテンツ制作、IPビジネス、広告・マーケティング、クリエイティブなど、コンテンツ産業を支える多様なテーマを網羅する日本最大級の総合展示会。
開催日時 | 2026年6月17日(水)~19日(金) |
開催場所 | 東京ビッグサイト (西展示棟) |
出展社数 | 1,000社 |
セミナー概要 | 聴講者数4,123名 総セッション数38 |
来場者数 | 31,475名(3日間合計。同時開催展を含む) |
構成展示会 | ライセンシング ジャパン、クリエイターEXPO、映像・CG制作展、広告クリエイティブ・マーケティング EXPO、コミュニケーションデザイン EXPO、イマーシブテクノロジー EXPO、ファンコミュニケーションマーケティング EXPO【初開催】、CONTENT Hub |
2.コンテンツビジネス関連の興味関心層
来場者の業種・職種・目的から、コンテンツビジネスのなかでも、どのような分野や施策に興味が集まっているのかを考察します。
広がる一般企業のコンテンツ活用と、商談の場としての機能
来場者の属性は、下のグラフのとおりです。さまざまな業種の人が来場した中でも、「小売・メーカー・商品企画」が26.2%、「製造業」が11.7%を占めています。コンテンツ制作会社やメディア関係者だけでなく、一般の事業会社が自社製品の販促やブランド強化のためにコンテンツやIP(知的財産)を求めていることが読み取れます。
職種別では、「経営・企画」(15.2%)、「マーケティング・広報・ブランディング」(14.0%)、「商品企画」(12.6%)が大きな割合を占めており、これらを合わせると全体の約4割に達します。
「導入・活用における関わり方」では、「企画・提案を主導する役割/立場」(29.7%)や「意思決定・方針決定に関わる役割/立場」(18.4%)が約6割を占め、会場が具体的な商談の場として機能しているといえるでしょう。
国境を越えるコンテンツ需要と国際的なビジネスハブへの進化
本展では、海外のIPやサービスに対する需要の高さが顕著でした。世界中のIPが集まるライセンシング ジャパン」を中心に、韓国、タイ、台湾、香港などから多数のパビリオンや企業が出展し、国境を越えた商談が活発に行われました。海外出展社からは、日本市場への初進出や販路拡大の好機として、多くの新規顧客との出会いに手応えを感じる声が寄せられています。
来場者からは「国籍を問わず多様な規模感のIPに出会えた」との評価があり、独自の魅力を持つ海外コンテンツを自社ビジネスの販促や商品化に活用したいという強いニーズが読み取れます。
人気セミナー1位に「グローバルIP展開戦略」が選ばれたことも、その象徴です。本展は、単なる作品の売買を超え、世界規模でパートナーを模索する国際的なビジネスハブへと進化を遂げています。
来場者の声
来場者Aさん(インナーメーカー・マーケティング担当)
「キャラクターとのコラボ商品を考えているので、ライセンス関連の展示会はあるたびに来場するようにしています。私の仕事は、まだ世に出ていない、競合も契約していない新しいキャラクターやIPを探すのはもちろん、競合がどのような使い方をしているかをチェックする点も重要です。二つの目的が、展示会は一回で達成できるのはありがたいです」
来場者Bさん(インフラ業界・マーケティング担当)
「自社のPR用にショート動画を作りたくて来場しました。これまで作った動画は、業界内では見てもらえたものの、一般の方には届きませんでした。真面目すぎない、少し外れた面白い動画を作りたいと考えています。何件かブースを回って、自分で手軽にAIを使ってショートドラマなどを作れるプラットフォームが個人的には気になりました。」
来場者Cさん(広告代理店)
「商品化やイベント企画に使える新しいコンテンツやIPを探しに毎年参加しています。特に近年は、アジア圏など海外からの出展社が増え、日本語の資料や通訳も用意されているため商談が進めやすいです。SNS発の海外IPはフォロワー数などの具体的な数値が見えやすく、クライアントへの提案材料として助かっています。連絡先すら調べにくい海外企業と直接話せるのは、展示会ならではのメリットです」
3.セミナー内容からみる市場変化
著名なクリエイターや大手企業の責任者など、業界の第一人者にご登壇いただき、コンテンツビジネスのノウハウや成功事例がわかるセミナーを38セッション開催しました。中でも人気が高かったセミナーから、「コンテンツビジネス市場の今」を考察します。
【IP戦略のグローバル化と長寿命化】持続可能なブランド育成への関心
ランキングの1位と2位に「グローバルIP展開戦略」と「ロングセラーIPの育て方」が入っていることから、単発のヒットで終わらせず、IPをいかに長く愛されるブランドに育て、世界市場へ進出させるかという戦略的なニーズが非常に高いことが伺えます。
「ロングセラーIPの育て方」というテーマが支持されたのは、成熟した国内市場において、既存IPのリブランディングや、息の長いファン形成(LTV向上)が企業の至上命題となっていることが伺えます。
また、来場者から「キャラクター活用について、リーディング企業の取り組みや海外の具体的な展開事例を聴くことができたので大変満足」といった声が挙がったように、国際的な視点での学びに価値を見出す声が寄せられています。
これらの動向から、現在のコンテンツビジネスは「点(制作)」のフェーズを終え、「線(長期的な育成)」と「面(グローバルな多角展開)」をいかに緻密に設計するかが勝敗を分ける時代に入っていると考えられます。
記憶に残るための「ストーリー設計」と「独自の世界観」の追求
「ヒットを生む"ストーリー設計"」や「世界観で人を惹きつけるコンテンツづくり」が人気を集めたのは、コンテンツの量産時代において、「いかにして消費者の記憶に引っかかる違和感やフックを作るか」という問いへの答えを市場が求めているといえるでしょう。
セミナー聴講者の反応として「コンテンツは勝手に愛されるものではなく、そこに至るまでには緻密な努力やテクニックが必要であると理解できた」といった声が挙がり、感覚的な制作を超えた戦略的な設計の重要性が共有されました。
つまり、市場は「いかに作るか」という実務レベルから、「どう設計すれば、AI動画や量産型コンテンツの中で埋没せず、人の心を動かせるか」という上流工程の戦略にシフトしていることが伺えます。
4.データと現場の声から見える商談の実態
意思決定層が求めていた具体的なソリューションとは何だったのでしょうか。ここからは来場者の職種構成を軸に、市場が求めているニーズや商談の実態を分析していきます。
決裁権を持つリーダーたちが、戦略的なパートナーを求めて集まる
役職別の構成比を見ると、「社長・役員クラス(15.0%)」、「本部長・部長クラス:(11.0%)」と、経営層や上位管理職が大きな割合を占めています。単なる実務の情報収集に留まらず、その場での判断や具体的な商談を目的とした、質の高いネットワーキングが行われていることが分かります。
また、従業員規模については、1,001名以上の大企業が23.2%を占めており、501名以上の中堅・大企業を含めると全体の約3分の1に達します。自社のブランド価値を大規模に創出するためのパートナーを求めて集まっていると推察されます。
出展社の声
A社(キャラクターライセンス・コンテンツ制作)
「B2Bの展示会ですが、新人キャラクターを中心に今回は展開しています。既存のキャラクターとは違う価値を重視し、普段は取引のない異業種の会社様など、少し趣の違う企業様と新規パートナーとしてマッチングできることを意識して営業しています」
B社(映像制作サービス)
「当社には営業の専任者がおらず、全員が制作担当なので、技術目線の対話がすぐにできる強みがあります。とりあえず相談に来られた方にも、その場でサンプル制作など具体的な提案をして商談に繋げています。AI活用の要望も増えていますが、実態としてはコスト削減が主な目的という印象を持っています。経営者や決裁者との繋がりを重視する企業も多い中で、現場の担当者の裁量でも決められる予算感で設定してあるので、その場でビジネスになるケースも多いです」
C社(自治体)
「出展の主な目的は、当社の施設を使って撮影されたコンテンツの宣伝と、施設自体の認知拡大です。海外からの来場者が多いのが予想外でした。自治体の取り組みに興味を持ってくださった方が、それをプロデュースしている共同出展の企業にも合わせて話をしてくださる例が多く、名刺入れはもうパンパンです」
まとめ|ファンと共に価値を創出する「ブランド共創」へ
今回の展示会の動向から、今後のコンテンツビジネスは、単なる制作・発信から、ファンと共に価値を創出する「ブランド共創」へと大きな転換期を迎えているといえます。
この背景には、一方通行な広告手法の効果が薄れる中、ブランド価値を継続的に高めるコミュニティの役割が不可欠になったことがあります。実際に、本展では小売・メーカー(26.2%)をはじめとする一般事業会社の来場が顕著であり、自社製品の差別化やブランド強化のためにIPを戦略的に活用したいという強い意欲が示されました。また、来場者の約6割を企画・意思決定層が占めた事実は、単なる制作発注ではなく、ブランドの「意味」や「体験」を共に設計できるビジネスパートナーが切望されている市場実態を裏付けています。
コンテンツ東京ではこれら「育てる・つなげる」という実践的なフェーズへのニーズを受け、次回は構成を刷新し、次回は「ブランド共創 EXPO」が新設されます。選ばれる「意味」を設計し、選ばれ続ける「体験」と「関係」をブランドと共に創り上げるパートナーが集結するこの場は、企業、クリエイター、ファンが深く交わり、AI時代における次世代の価値を共に生み出すプラットフォームになっていくと確信しています。
