商品化から販促・イベント・体験へ。
IP・ライセンス活用が広がるなか、出展企業3社は展示会で誰と出会い、どのような成果につなげたのか





はじめに:キャラクター会社だけではない。IPを育てて広げる時代へ

アニメグッズを求める長蛇の列、推し活やぬい活、シールからカプセルトイまで。キャラクターやIPは、気づけば生活のあちこちに入り込んでいます。
その裏側で、IPを持ち、広げようとする企業の顔ぶれも変わってきています。食品メーカーや制作会社なども、自社のキャラクターやブランドをIPとして育て、商品化やコラボにつなげようとしています。

自社のIPをこれから広げたい企業は、パートナー企業やライセンシーをどこで見つけているのか。その入口の1つが日本最大級のライセンス商談展「ライセンシングジャパン」です。
そのような中、2026年9月17日には、出展企業向け説明会「自社IPを広げる ライセンシングジャパン活用事例セミナー~最新業界動向と出展企業のリアルから、次の一歩を見つける~」が開催されました。

本記事では、最新動向セミナーと出展企業3社のトークセッションを中心に、当日の様子をお届けします。


IP・ライセンスビジネスの現在地

9月17日の午後。会場となった東京・八重洲のRX Japan本社には、続々と参加者が集まってきました。この日参加したのは、IPホルダー、アパレルブランド、制作会社などライセンスビジネスの展開に関心を持つ37名の方々。

まずは業界全体でいま何が起きているのかを知るところからスタートです。


ライセンスビジネス最新動向セミナー:市場では何が起きているのか

ライセンス活用の幅がもっと広いものに

最初に登壇したのは、株式会社キャラクター・データバンク代表取締役社長、一般社団法人キャラクターブランド・ライセンス協会専務理事の陸川 和男氏。

セミナータイトルは「商品化・タイアップ・販促・イベント ―― 広がるライセンス活用の最前線と市場動向」。

ライセンスという言葉を聞くと、キャラクター商品やコラボグッズを思い浮かべる人も多いかもしれません。ただ、今回の講演で印象的だったのは、ライセンス活用の裾野が想像以上に広がっていることでした。

商品化はもちろん、販促キャンペーンやイベント、ホテルやテーマカフェのような空間演出まで、ライセンス活用の場は大きく広がっています。IPは商品づくりだけでなく、人との接点や体験そのものを設計する手段になりつつある。そんな変化が語られていました。

また企業ブランドや企業キャラクターの活用、地域とのコラボレーションなど、従来のキャラクタービジネスの枠組みだけでは語れない動きにも触れられました。

食品や飲料、鉄道、自治体など、以前はライセンスビジネスとの接点が見えにくかった企業や団体も、ブランドやキャラクターを活用した取り組みを進めています。ライセンス活用が一部の業界だけのものではなくなっていることを感じさせる内容でした。
 

「推し活」「SNS」「体験」が市場を変えている

インバウンド需要の拡大や推し活の定着、SNSを起点とした購買行動の広がり。さらにポップアップストアやテーマ施設など、体験型チャネルの存在感も年々大きくなっています。

特に印象的だったのは、「体験」が購買の入口になっているという視点です。
SNSで話題になる。実際にイベントやポップアップに足を運ぶ。その体験をまたSNSで共有する。
ライセンス活用は商品そのものだけでなく、こうした体験の設計やコミュニケーションとも結びつきながら広がっているように感じられました。
 

これからのライセンスビジネスはどう変わるのか

今後の方向性について陸川氏は、海外市場の拡大やリアルとデジタルを組み合わせた新しい体験づくりなどに触れながら、次のフェーズへ向かっている可能性を示していました。

国内で成功してから海外へ展開するのではなく、最初からグローバル市場を見据える動き。リアルな商品とデジタル体験を組み合わせた新しい価値づくり。そして、物販だけではなく体験そのものを設計する存在としてのIP。
講演全体を通じて見えてきたのは、ライセンスビジネスが広がっているだけではなく、その役割自体も変わり始めているということでした。
 

講演タイトルにもある「商品化・タイアップ・販促・イベント」

ライセンス活用の広がりを受けて、ライセンシングジャパンにも、メーカーや小売の商品企画担当者、企業のマーケティング・プロモーション担当者、商業施設、自治体、メディア・エンターテインメントなど、幅広い業種・職種の方が来場しています。
ライセンスは一部の業界のものではなくなりつつある。だからこそ、展示会もまた、業界関係者だけが集まる場ではなくなっているのかもしれません。


出展企業のトークセッション:出展して何が起きた?3社が語る本音

続いては、前回(2026年)の出展企業3社によるトークセッションへ。

初出展の調味料メーカー『Mizkan』、3回目の出展となる制作会社『クリエイティブハウスポケット』、第1回から出展を続けるライセンスエージェント『グリーンキャメル』。立場も出展歴も違う3社から、出展のきっかけや会場で生まれた商談、出展後の成果、そしてうまくいかなかったことまで語っていただきました。

ご登壇いただいた3社、3名のご紹介!

左手から
(有)クリエイティブハウスポケット 取締役/アートディレクター 野口 里美 氏
(株)グリーンキャメル ライセンスコーディネーター 副島 泉紀 氏
(株)Mizkan 調味料事業部 調味料企画2課 主任 田中 史恵 氏
 

Q.出展しようと思ったきっかけは?

Mizkan 田中氏
「出展したのは“味ぽん”です。目的は2つあって、IPとしての認知拡大と、ライセンシーの獲得でした。

“味ぽん”は60年以上続く調味料で、本当に多くの方に知っていただいていると思います。ただ、これから世帯数も減っていきますし、若い方の中には料理をしないという方もいらっしゃる。購入数が減っていくことが想定されるなかで、今後を見据えた戦略の1つが“IP活用”でした。

ここ数年、プレゼントキャンペーンやアパレルの販売などを行って、大きな反響はいただいていました。ただ、これまでは自社や取引先との伝手の中でやってきたことが中心で、どう広げていくかが難しかった。それを『ライセンシングジャパンで打破したい』と考えて、出展を決めました。」

田中氏にお持ちいただいた“味ぽん”グッズたち
 

クリエイティブハウスポケット 野口氏
「弊社は制作会社で、普段はアニメ・ゲーム業界のクライアント様から、イラストやアニメーション、3DCGの制作を受注しています。制作受託を事業のメインにしつつ、さらに自社のオリジナルIPを作って、育てていこうとしているんです。

中でも注力しているのが、“AngryBabyz(アングリーベイビーズ)”というキャラクターです。Instagramのフォロワーが約3万人まで増えてきたタイミングで、ちょっと勝負をかけようと。3年前からライセンシー獲得を目的としてライセンシングジャパンに出展するようになりました。」

セッション中も野口氏と一緒に登壇した“AngryBabyz(アングリーベイビーズ)”
 

Q.3日間の展示会でどんな企業・業界の方と話しましたか?

グリーンキャメル 副島氏
「弊社はライセンスエージェントで、例えば、”リラックマ”や”すみっコぐらし”などのキャラクターを毎年出展しています。来場される方で多いのはメーカーさんで、食品、アパレル、雑貨など本当に幅広いですね。他にも、イベント会社や広告代理店の方が『キャンペーンで起用できるキャラクターを探している』といらっしゃったり。“クッピーラムネ”というキャラクターも出しているのですが、IPコラボしたいという話も、最近とても増えています。

長く出展しているので、ブースに来られる方の3割くらいは既存のライセンシーさんです。そうした方に、まだ契約いただいていないIPをご紹介する、というケースも多いですね。」

ライセンシング ジャパン2026のグリーンキャメルのブース(一部)
 

Mizkan 田中氏
「副島さんの話にもあったように、本当にさまざまなジャンルの方とお話しできました。3~4割はライセンシーさんだったと思います。他には代理店の方や、コラボの話もありましたね。同業のメーカーの方でこれからIP展開を考えていて、どんなふうに進めているんですか?と聞かれることもありました(笑)。」
 

クリエイティブハウスポケット 野口氏
「メーカーの方をはじめ、イベントやテーマパークの方も多く来場されていました。普段お付き合いする機会のない企業の方とも、たくさん名刺交換ができたと思います。大手テーマパークからの制作のご依頼もあり、パーク内のグッズ開発などにもつながりましたね。」
 

Q.出展後の成果、実現した企画はありましたか?

グリーンキャメル 副島氏
「弊社はルート営業が中心です。新規の営業先は、権利元さんからご紹介いただくか、それ以外は展示会でお会いした方になります。実際、私が担当しているライセンシーの7割以上は、展示会がきっかけで出会った会社さんですね。

印象的だったのは、ブースに来られたライセンシーさんから『ベビー用品に使えるキャラクターを探している』とお話をいただいたケースです。弊社でもそうしたブランドの立ち上げ支援を行っていることをご紹介したところ、その後のご契約につながりました。

また、既存のお客様がいらっしゃったときには新しいIPをご提案するようにしています。展示会は実物を並べられて、大きな装飾もあるので、普段の営業よりも決まることが多い気がしますね。」



クリエイティブハウスポケット 野口氏
「現在、東京タワーで“アンベビ(AngryBabyz)”のポップアップを開催していますが、これもライセンシングジャパンをきっかけに進んだ企画です。ほかにも、3年前の出展をきっかけにカプセルトイのライセンシーがいくつか決まり、こちらも最近、実現したところですね。」
 

Mizkan 田中氏
「3日間で800名以上の方と名刺交換することができました。まずは、多くの方とつながれたことが大きかったと思います。その後、50社以上と商談し、複数の企画を進めることが決まっています。近いうちに、皆さんの目に触れるものをお届けできそうです。

(想定していたライセンシーに会えたかについて)想定していた範囲が広かったのですが…アパレルやカプセルトイが数としては多かったと思います。調味料なので、キッチン周りの会社さんも結構多かったですね。ホビー系の会社さんとも、案件を進めようかという話をしています。」
 

Q.出展してみて気づいたこと、次に活かせることは?

クリエイティブハウスポケット 野口氏
「3回出展してきた中で感じているのは、『文字情報はブースに大きく出しておいた方が良い』ということです。初めて出展したときは、見栄えを重視してキャラクターのイラストをドンと大きく出し、文字情報はデザイン的に良くないかなと思って省いてしまったんです。でも来場者にとっては、どんなキャラクターで、フォロワーがどのくらいいるのかが、パッと見てわかる方が良い。それに気づいて、2回目、3回目と、反省を踏まえてテキスト情報を増やしています。

またどんなライセンシーを獲得したいかによって、表に出す商材を変える必要があると感じました。私たちはグッズ関係のライセンシーを獲得したかったのに、グッズをブース動線の反対側に置いてしまい、獲得が控えめになってしまったこともあります。逆に、アニメーションの展示を表に出したことで、メディア系の企業とは多くお話しできたりとか。」



Mizkan 田中氏
「野口さんの文字情報のお話は、『まさに』だなと。私たちもライセンシーさんが取り組みたくなるような数字・データを、大きく掲げたのが良かったと感じています。味ぽんの認知率や、これまで25億本を販売していること。プレゼントキャンペーンに多くの生活者の方にご応募いただいたといった反響も、数字でお見せしました。展示会場にキャラクターがたくさん並ぶ中、急に“味ぽん”が出てくる。自分たちならではのユニークな価値を前面に出したブースづくりができたかなと思っています。」

ライセンシング ジャパン2026のMizkan味ぽんのブース(一部)
 

グリーンキャメル 副島氏
「弊社としてはこれまで約20回出展していて、準備はほとんどマニュアル化しています。半年前にこれ、3か月前にこれ…と、営業とデザイナーそれぞれに工程表のようなものがあるので、準備の面で困ることは少ないです。

それよりも大事なのは、終わった後のフォローだと思っています。会期の翌週には、営業が名刺交換した会社からアプローチ先をピックアップし、なるべく早く1回目のメールを送る。全社には対応しきれない部分もあるため、名刺交換のみの企業にも、お礼メールをお送りしています。

会場では熱量高く話していても、2週間くらい経つと忘れられてしまう、ということはあるんです。だからこそ、会期後のフォローをしっかりやることが成果につながるのかなと思います。」
 

Q.(参加者からの質問)出展費用に対して、どのくらいの成果やリターンがありましたか?

Mizkan 田中氏
「定量的なところは、私たちはまだ始まったばかりなので難しいのですが、想定していた1.5倍ほどの企業と接点を持てましたし、すでに複数の企業と案件化が進んでいます。『知っていただく』ことと『ライセンシーの獲得』という点では、目的は果たせたと思います。」



出展して何が起きたのか。語られたのは、ライセンシーとの接点や案件化といった成果だけでなく、思うようにいかなかったことも含めた本音でした。3社とも、ブースの見せ方や会期後のフォローを見直しながら、試行錯誤して成果を高めようとしているのが伝わってきました。

出展企業の話を真剣に聞く参加者の皆さん


過去最大の出展規模、次回に向けて申込みも進む
―ライセンシングジャパンの展示会概要

出展規模は年々拡大

出展企業によるトークセッション後は、ライセンシングジャパン事務局長の下田による展示会概要の説明が行われました。その中で特に注目を集めていたのが、ライセンシングジャパンの出展規模の推移です。

近年、ライセンシングジャパンは規模を拡大し続けており、前回(2026年)は過去最大となる178社・960プロパティが出展。出展規模は2022年比で約2倍に拡大しています。

陸川氏の講演でも語られていたように、ライセンス活用は商品化だけでなく、タイアップや販促、イベント、空間演出へと広がっています。
そして、ライセンシング ジャパンは「コンテンツ東京」の中で開催されるからこそ、従来のライセンシーに限らず、IPを商品企画やプロモーション・販促、体験づくりに活用したい企業担当者など、幅広い接点が生まれます。

出展企業のトークセッションでも、その広がりが数多く示されていました。

また、2027年の出展枠の約70%が申込み済みとの案内もありました。2026年の過去最大規模に続き、次回に向けた申込みも進んでいます。

説明会の最後には交流の時間も設けられ、登壇者と参加者が名刺を交換する姿も見られました。

登壇者の皆さんへの質問や相談、参加者同士の交流など…話はつきないようです。


おわりに

ライセンス活用は商品化だけでなく販促・イベント・体験へ、と拡大しています。

陸川氏が示したライセンス活用の広がりは、市場全体の大きな話というだけでなく、登壇した3社の現場でも起きていることでした。

60年以上続く老舗ブランドをIPとして打ち出したメーカー。自社オリジナルのキャラクターを育て事業を広げている制作会社。そして長く業界に携わってきたライセンスエージェントも、既存ライセンシーとの関係づくりと新規開拓の両軸で、展示会を使い続けています。 IPを育てて広げようとする企業にとって、展示会の使い方が変わってきていることが、3社の話から具体的に見えてきました。

そして、ライセンシングジャパンは、前回(2026年)は過去最大規模で開催するなど、今、広がり続けています。

「新しいライセンス先と出会いたい」「商品化やコラボの機会を探したい」「自社IPの可能性を広げたい」「ライセンスビジネスに関わるサービスは持っているけど、出展してどうなるんだろう…」
少しでもそんなことを考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
貴社のIPやサービスに合いそうな出展エリアや、ブースでの見せ方なども含めて、一緒に考えさせていただきます。
次回の出展枠も埋まり始めていますので、気になる方はお早めにお問い合わせください。


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CONTENT memo

浅川 温哉(コンテンツ東京 マーケティング統括)

お忙しいなか今回、ご登壇を引き受けてくださった陸川さん、田中さん、野口さん、副島さん、本当にありがとうございました。うまくいかなかったことまで率直に話していただけたおかげで、出展を考えている方にとって具体的に参考になる時間になったと思います。

ご登壇いただいた出展企業は、業種も出展歴もバラバラです。ただ話を聞いていると、どの会社もブースの見せ方を変えたり、会期後のフォローを見直しながら、試行錯誤して、今も挑戦の途中なんだなと感じました。

IPビジネスが盛り上がっている、という話は耳にすることも多いと思います。でも、自分たちのIPを実際にどう広げていけばいいのか、最初の一歩がわからないという方も少なくないのではないでしょうか。私たちは展示会を通じて、そういった方の後押しをしながら、IP・ライセンス市場がもっと広がっていくきっかけをつくれたらと思っています。
もし、今の取引先や伝手だけでは届かない相手がいるなら、出展を一度考えてみる価値はあるはずです。まずはお気軽にお声がけいただけたら嬉しいです!




コンテンツ東京とは
コンテンツ制作、映像・CG制作、ブランディング、マーケティング、権利、IT、最先端の表現技術などが出展。
メディア、エンターテイメントや企業の広報・マーケティング、商品企画部門の方々が来場し、活発な商談が行われています。